めちゃくちゃよい問題だなーって思ったので備忘録がてら。
問題
(1)確率で表の出るコインを投げることを考える。表の出るまでに投げた回数の期待値と分散をを用いて表せ。
(2)ある袋の中に種類の玉が一つずつ入っているものとする。ここでの整数である。袋の中から無作為に玉を一つずつ取り出し、玉の種類を記録して袋の中に戻すことを「試行」と呼ぶとき全ての種類の玉を記録するために何回の試行が必要か。というもんだいを考える。
各試行は独立で取り出される玉の種類は一様分布に従うとする。さらに
種類記録するまでに要した試行回数をと記す。このとき、
(i)の期待値と分散をとを用いて表せ。ただしは残り種類のうちの一つを取り出すまでに繰り返した試行の回数である。
(ii)の期待値と分散をそれぞれととおくとき、
であることを証明せよ。
解法
(1) 割と典型問題だけど書くのが少し大変ですね。
試行回数を用いると回目に表が出る確率はと書ける。よって期待値は
とかける。ここでをで微分するととなり、さらに
とおけので
さらに
\begin{align} E[n^2] = p \sum_{n=1}^{\infty} n^2 (1-p)^{n-1} &= p \sum_{n=1}^{\infty} n \{(n+1)-1 \} (1-p)^{n-1} \\ &= p \sum_{n=1}^{\infty} n(n+1) (1-p)^{n-1} + p \sum_{n=1}^{\infty} n (1-p)^{n-1} \\ &= p \sum_{n=1}^{\infty} n(n+1) (1-p)^{n-1} - \frac{1}{p} \end{align}
となる。ここではを2回微分したものなので先程と同様に
\begin{align} E[n^2] &= p \sum_{n=1}^{\infty} n(n+1) (1-p)^{n-1} + \frac{1}{p} \\ &= p \left( \sum_{n=1}^{\infty} (1-p)^{n+1} \right)^{''} - \frac{1}{p} \end{align}
となる。さらに
\begin{align} \sum_{n=1}^{\infty} (1-p)^{n+1} = \lim_{n \rightarrow \infty}\frac{(1-p)^2 \{1 - (1-p)^{n-1} \}}{1-(1-p)} = \frac{(1-p)^2}{p} \end{align}
であり \begin{align} \left(\frac{(1-p)^2}{p} \right)' &= \left(p - 2 + \frac{1}{p} \right)' = 1 - \frac{1}{p^2} \\ \left( 1 - \frac{1}{p^2} \right)' &= \frac{2}{p^3} \end{align}
となる。以上より
\begin{align} E[n^2] &= p \left( \sum_{n=1}^{\infty} (1-p)^{n+1} \right)^{''} - \frac{1}{p} \\ &= \frac{2}{p^2} -\frac{1}{p} \\ &= \frac{2-p}{p^2} \end{align}
よって \begin{align} V[n] &= E[n^2] - (E[n])^2 \\ &= \frac{2-p}{p^2} - \frac{1}{p^2} = \frac{1-p}{p^2} \end{align}
(2)(i) (1)を使うと簡単
玉を個取り出した状態で1回の試行で残りの個の玉から1つを取り出す確率はとなり、取り出す玉の種類が一様分布になることからこの確率は何回試行しても等しくなる。ここで(1)より確率の事象が回目の試行で初めて起こるときの期待値はと表せるので期待値をとすると
\begin{align} \mu = \frac{N}{N-k} \end{align}
分散も同様にとすると
(2)(ii)等差数列の一般項を求めるノリでいけそう
まず、の期待値が1、分散が0であることが問題文より自明であることに注意。このとき(1)よりの期待値はである。以降、期待値をE[]と表す。このとき、
\begin{align} E[S_N - S_{N-1}] &= \frac{N}{N-(N-1)} = N ・\frac{1}{1} \\ E[S_{N-1} - S_{N-2}] &= \frac{N}{N-(N-2)} = N ・\frac{1}{2} \\ ... \\ E[S_3 - S_2] &= \frac{N}{N-2} = N ・\frac{1}{N-2} \\ E[S_2 - S_1] &= \frac{N}{N-1} = N ・\frac{1}{N-1} \\ \end{align}
よって辺々たしあわせることによって
\begin{align} E[S_n - S_1] = N\sum_{i=1}^{N-1} \frac{1}{i} \end{align}
となる。以上より
\begin{align} \mu &= E[S_n] \\ &= E[S_n-S_1] + E[S_1] \\ &= N \sum_{i=1}^{N-1} \frac{1}{i} + 1 \\ &= N \sum_{i=1}^{N-1} \frac{1}{i} + N・\frac{1}{N} \\ &= N \sum_{i=1}^N \frac{1}{i} \end{align}
分散も同様に表せる。